#アメリカの加速主義 バイデン大統領 110兆円規模「インフラ投資法案」に署名・成立

アメリカのバイデン大統領は、道路や橋を整備する総額110兆円規模のインフラ投資法案に署名し、積極財政を掲げる政権の看板政策の1つがようやく成立しました。

バイデン政権が打ち出した総額1兆ドル、日本円で110兆円規模を投じるインフラ投資法案は、野党・共和党の意見も取り入れた超党派によるもので、今月5日、議会下院で可決されました。

これを受けてバイデン大統領は15日、法案に署名し、法律が成立しました。

この中には、老朽化した道路や橋の整備、通信・電力網の強化、それに電気自動車の充電設備の拡大も盛り込まれていて、インフラ整備に巨額の国費をつぎ込んで雇用の拡大を図るねらいです。

バイデン大統領の支持率が、就任以来最低の水準に落ち込む中、最初の提案から7か月余りがたち、積極財政を掲げる政権の看板政策の1つがようやく成立しました。

しかし、財源をめぐっては、当初見込んでいた法人税率の引き上げが含まれなかったことなどから、議会予算局は、この法律に基づく計画によって、財政赤字が10年間で29兆円拡大するという予測を示しています。

今後は、育児支援や気候変動対策を含む200兆円規模の歳出法案の議会審議が焦点となりますが、財政規律を重視する民主党の中道派の議員たちが難色を示していて、党内の意見を一致させられるかが課題です。

バイデン大統領「国家再建への記念すべき一歩」
バイデン大統領は法案の署名式で「国家を再建するための記念すべき一歩を踏み出した。この国は再び動き出し、国民の生活はより良くなる」と述べ、インフラ整備を通じて国民の生活や雇用を大きく改善できると強調しました。

また、「この法律によって、来年は20年ぶりにアメリカのインフラ投資が中国を上回る。この法律は21世紀をリードする」と述べ、中国への対抗意識も示しました。
支持率低迷もインフラ投資法案は63%が支持
アメリカのABCテレビとワシントン・ポストが、14日に発表した最新の世論調査によりますと、バイデン大統領の政権運営を「支持する」と答えた人は41%、「支持しない」が53%で、アフガニスタンからの軍の撤退で混乱が広がった前回9月初めの時点より、「支持する」がさらに3ポイント下がり、就任後、最低の水準になりました。

支持率の低下は、インフレが大きな原因とみられ、70%の国民が「経済状況が良くない」と感じていて、これはことし4月時点と比べて12ポイント悪化しています。

一方で、バイデン大統領が15日に署名し、成立した総額110兆円規模のインフラ投資法案については、63%が支持しており、バイデン政権と与党・民主党が成立を目指している育児支援や気候変動対策を含む200兆円規模の歳出法案についても、58%が支持しています。